研ぎ直し.修理日誌


このページは日々の中でお客様に頼まれた修理等を載せていきます。皆様の参考になれば幸いです。


「刃物屋のオヤジ日記」を始めました。ご覧になりたい方はこちらから
FACE BOOKのWALLでやっていますので最初に青色の文字の『記事の題名』をクリックして頂くと写真と説明が出てきます。
その後左の写真をクリックして頂くと写真が大きくなり、右側の三角をクリックすると写真がスライドします。
写真を大きくしたページから元のページに戻るには画面右端上の小さなXをクリックして下さい。

包丁の包み方

   

毎日、お客様が包丁の研ぎをお持ちになります。又、このホームページをご覧になって、送られて来る事もあります。
稀に刃先がバッグから突き出ていたり、送られてきたダンボールから突き出ている事もあります。
包丁は上の写真の様に、ボール紙や牛乳パックを二つ折りにして、必ず刃先を黒の斜線部分の様に折り返してから、
新聞紙やチラシに包んで下さい。最近は包丁をお買い上げ頂いた時に、箱を捨てないように申し上げています。
箱に入れるのが、一番安全な方法です。

店主の研ぎに対する考え
お客様がお持ちになる庖丁を拝見していると ほとんどが刃の研ぎ角が立ち過ぎです。
よく研ぎ方の説明に十円玉2〜3枚横に入るぐらいの角度とありますが、私の考えでは立ち過ぎです。
十円玉1枚が横に入る位の角度と思って下さい。
研ぎで大事なのは右手ではなく左手です。時々刃の真中辺りがへこんでしまって先と刃元が残った庖丁を
お持ちになりますが、これは左手の場所がずっと同じ場所にあるからです。刃先を研ぐ時は左手を刃先に
のせて下さい。
どこまで研げば良いかというと、片側から研いで反対側に引っかかりが出るまでです。その引っかかりをメクレ
と呼びます。全体にメクレが出たら両刃の場合 反対側を同じ回数 片刃の場合 裏側をベッタリで2〜3回研ぎ
仕上げ砥がなければ 蒲鉾の板の縦の方向で2〜3回切ってメクレをすいこませて下さい。
両刃の庖丁は両側同じ回数ですが片刃の庖丁の場合〔出刃庖丁 柳刃庖丁等〕荒砥 中砥では表が
95% 裏〔平らに見える方〕が5% 仕上げ砥では表が5% 裏が95%になります。
表側を仕上げ砥で光らせてある庖丁がありますがあまり切れ味には関係しません。
よくラシャ鋏を研ぎに持って来る方の中に鋏の裏を研いであるのが見うけられます。
鋏の裏側はスキツキリですので絶対に研がないで下さい。鋏は出来れば専門店に研ぎを依頼してください。
研いで修理不可能になる場合が多いです。
ここまで研ぎについて私の考えを書きましたが、あくまで私の考えですので間違っている所が
あるかもしれません。その場合お許し下さい。

ナイフマガジン2010年2月号研ぎ大全でナイフマガジンの質問に答えた研ぎについての私の考えです。
1:お店に来る研ぎの依頼はどれ位の量ですか?
庖丁は平均すると月200丁以上、12月は500丁を越える年とやや下回る年があります。鋏は1日1丁位研いでいるのではないかと
思います。毎年ではないのですが、2年に1回位ある施設の竹細工用切り出しを300〜400丁研いでいます。
2:お店での研ぎ方の順序を教えてください。
3:研ぎの際、特に留意されていること、こだわっているところがあれば教えてください。
荒研ぎは、ラクダR265水平回転水研器を使用、砥石の番手は#100.中研ぎも同じく水研器を使用。ただ#1000でも回転式の
場合手研ぎに比べて細かい仕上がりになるので手研ぎの#1200使用位の仕上がりになります。仕上げ研ぎは、#8000くらいの
仕上げ砥石を手研ぎで使用しています。

基本的に荒砥、中砥はかけてみて音がする砥石ならばいいと思っています。仕上げ砥石をかけるとかけないでは切れ味が本当に
違います。最初の頃は天然の仕上げ砥石を使っていたのですが一般的に言ってステンレスにはどうも相性が悪く、現在は合成の
細かいものを使用しています。
4:お客様が自ら研ぎをしたい、という時のアドバイスはありますか?
お客様がお持ちになる庖丁を拝見するとほとんど刃の研ぎ角が立ち過ぎです。よく研ぎ方の説明に十円玉2〜3枚横に入るぐらいの
角度とありますが、私の考えでは立ち過ぎです。十円玉1枚が横に入る位の角度と思ってください。あと鋏は出来れば専門店に研ぎを
依頼してください。研いで修理不可能になる場合が多いです。(正秀刃物店HPより抜粋)
5:おすすめの砥石、シャープナーがあれば教えてください。
中砥石は通常はキングの#800をお勧めしていますが、荒砥を使わないのでもっとかかりのいい砥石をというお客様にはシャプトンM24
オレンジ中荒(価格6.775円)、仕上げ砥石にノーブランドの超仕上げ砥石(#8000位 価格8.715円)をお勧めしています。
砥石は上にも述べましたが庖丁用とナイフ用で分けていません。それよりも仕上げ砥石をかけることが重要です。
  (ナイフマガジン2010年2月号より)

水研器 ラクダR265使用 仕上げは手で

                             

 研ぎ台の造り方
SBS学苑の研ぎ教室を最初はSBS学苑の教室で行っていたのですが生徒さんのお持ちになる庖丁が丸っ刃や段刃で直しきれないので
ある時期から私の店で8人限定で行うようになりました。私の店には父の研ぎ台と私の研ぎ台の2台がありましたが8人の生徒さんには
少ないので写真のような研ぎ台を製作しました。ベースはホームセンターに売っている屋外用流し台です。試しに研いでみましたら
グラグラしてしまいとても使い物になりませんでした。そこで写真のようにコンパネで補強をいれました。コンパネと研ぎ台のパイプは
結束バンドで固定してあります。この研ぎ台は前側をショーケースに付けて使用していますので前後のゆれはありませんが単独で
使う場合には横方向の補強がいるかもしれません。
私の経験からやや前下がりのほうが研ぐ時に力が入れやすいので写真のような台を製作しました。この台の上に濡れ雑巾をひいて
砥石をのせれば砥石は動きません。大事なことは写真右の台の下側の小さな木片です。これを流し台の大きさに合わせて固定しますと
木の台が動きません。又 左の大きい木片は流し台の深さが深いのでそのままですと傾きが強すぎて研ぎにくいので、やや前下がりに
なるように調節してあります。屋外用流し台を使わなくても写真の木の台を台所の流し台の大きさに合わせて是非造って下さい。
格段に研ぎ易くなると思います。
京浜刃物専門店会のHP庖丁と研ぎ直しについてのQ&A 庖丁の選び方 庖丁の研ぎ方について非常に素晴らしい解説がありました。
よろしければご覧下さい。非常に参考になると思います。只 あくまで私の考えですがこのHPで高齢者用庖丁にチタン製庖丁を推薦していますが
チタン製庖丁は焼きが入っていないのでそれほど切れ味は良くないので推薦は出来ません。
(注)これはあくまでも私の方法ですので、前下がりにして研ぎにくい方は流し台の両側の縁を利用して木の台を水平にしてお研ぎ下さい。

2013.1.24. FACE BOOKに載せた修理が大分たまりましたのでUPします。

刃長の大久保鋏の刃を削りました。
植木屋さんから刃長の鋏が重くて疲れるので軽く出来ないかと相談を受けました。
刃を削ると鋏の強度が落ちる事を説明しましたが、葉しか切らないとの事で承りました。
中段の写真は荒砥石での仕上がりですが、この後ベルトサンダーで磨きました。

食洗器に入れていたステンレス牛刀の修理
ハンドルの中の部分が細いので苦労しました。食洗器には包丁を入れないで下さい。

右側の細いピン二つはスペーサーの固定です。
真ん中下の細いピンは穴がカシメよりも大きいのでハンドルの固定です。

銅のおろし金の目立て
一ヶ月程かかりますが素晴らしい仕事です。この職人さんの作ったものしか出来ません。

真ん中が鋼で両側がステンレスの三層鋼牛刀の柄の修理です。

穴を他の場所に開けると強度が心配ですので元の穴を利用します。水に強いファイバースペーサーでスペイサーを製作
細いピンはスペーサーの固定用です。最初は上二つのカシメでしたが、下側の柄が開いてしまったので追加しました。

ソバ切り包丁の研ぎ
写真の様に柄の上側にカナズチの柄を付けて木ズチで叩いて柄を抜いて研ます。
柄をすげるには、中子を柄の穴に差し込み、柄の下側を木ズチで叩きます。

2012.8.12 刀匠でありカスタムナイフメーカーの加藤清志氏から教えて頂いたのですが、木工バイスの内側に
        皮を貼っています。これは刃物の修正を行う時に傷が付かないので便利です。

2012.8.12 お客様から大分使い込んだ刃の幅が10cm程の草カジリの研ぎを依頼されました。

刃の曲がりを直してから、背中から(写真では上側)削ってから研ぎ上げました。

2012.6.26 お客様からKYDEXシースの製作を依頼されました。

3mm厚のKYDEXを切るのにアクリルカッターで筋目を入れて、机の端などでKYDEXを
上下させて切ります。
曲げたい部分のみをヒートガンで温め
ハンドル材で曲げます。
ベースが出来ました。 刃に直接KYDEXが当たらないようにボール紙を両面テープでブレードに貼ります。ブレードを
両面テープで木に張りますがフォームした時にナイフが折れないよう木には切り欠きがあります。
オーブントースターでKYDEXを温め万力でフォームします。このままではひるとのの下側がくぼんでいてナイフが抜けないので
変形させたくない部分を濡れ雑巾でカバーして、ヒートガンで温め膨らませます。
固定する部分をどこにするかをバイスグリップで
固定して決めます。
塩ビ管用接着剤で接着します。いらない部分を切り取ってからカッターナイフを
すべらすように使用してなめらかな面を作ります。
かしめて出来上がりです。
同じお客様に以前に製作したシースですがTEK-LOKをお客様が付けました。

2012.5.6 刃物屋のオヤジ日記のFACE BOOKページには水研器の修理を既に掲載していますが、このページにも掲載します。

ステンレスの箱の溶接が長年の使用で外れてしまっています。一番上はボルト・ナットで固定できたのですが、
その下は重なっている部分が少ないので、クリップの内側にアルミ板を挟んでテンションを上げて固定しました。
モーターを外してベルトの交換をしました。右の写真の白いカップの上に砥石がのります。
又 回転するとカップの内側がプロペラの様になっていて、水を砥石の表面に吸い上げます。

私の店で販売しました水研器の力が弱くなったのでベルトの交換をしました。
しばらく修理していなかったので忘れてしまい新品を横に並べて修理しました。

2012.4.23庖丁の柄の修理
 お客様から鋼の三徳庖丁の柄の修理を頼まれました。ハンドルの中の鋼の部分が小さいのでハンドルの間にカスタムナイフに
 使われている水に強い赤のファイバースペーサーを入れてエポキシで接着し削りました。元の下側の穴が一部破損していたので
 新しく穴をあけました。

2012.3.10 押し切り(わらきり)の研ぎ
お客様から押し切りの研ぎを頼まれました。修理するのに夢中で修理前の写真が無く申し訳ありませんが、刃は真っ赤に錆びていました。
刃を取り外し研ぎ、各動作部にCRCを吹いてから取り付けました。

2012.3.10 KYDEXシース
お客様が細くなって使わなくなったG/SAKAIのペテイナイフを利用して持ち歩きようの全長120mmの小さなナイフを造りました。
KYDEXシースの幅を出来る限り細くしたかったので、二つ折りで造りました。金色に見えるのは細い真鍮釘でかしめてあります。

2012.2.4 鉈の研ぎと柄のすげ替え
お客様が真っ赤に錆びた鉈をお持ちになり、研ぎと柄のすげ替えを頼まれました。仕事をするのに夢中で修理前の写真が無く
申し訳ありません。錆を落としてから研ぎ、柄をすげました。鉈の柄も常時大きさが違うものを用意してあります。

2012.2.4 ヨキの柄の修理
私の店でお願いしましたヨキの修理です。このお客様は豚骨を砕くのにお使いになっています。もう何度か修理に
持ち込まれたのですが、その度に大きなくさびに替え何とかなっていました。今回は右端の写真のようにヨキの柄の
すげる部分の上側が斜めに変形してしまい、又何度かの修理で一番上側の柄の部分も弱っていました。
そこで柄の上側の部分を切り落とし、中の形に合わせて柄を削りすげました。

2011.10. 8 庖丁の柄の修理

お客様が最初にお持ちになった時、柄全体がビニールテープでグルグル巻きにされていました。それで水分が中にこもり
余計に錆が進行したようです。左のツバ付き牛刀は鋼ですが、幸いな事に柄の間の鋼の錆はそれほどひどくなかったので
削るだけで修理出来ました。右のステンレスのツバ無牛刀は柄と挟まれたステンレスの間にかなり隙間がありました。
最初はお客様に菜切り庖丁の柄を使った修理をご提案したのですが、柄を生かせないかと右の写真のように思い、隙間に
エポキシを流し込んでナイフ用のファイバースペーサーをつめて乾燥後削りました。




2011.10.2 鹿山利明氏の素晴らしい仕事
お客様からフォールディングナイフの背中のバネの修理を頼まれました。普通はお金がかかるのでお断りしているのですが
このお客様は大切な人から譲り受けたものだからどうしても修理したいとおっしゃいました。
そこで東京ナイフの最後の職人 鹿山利明氏 に無理を言ってお願いしました。
ナイフを全てばらして、背バネを再製作し各パーツを磨き上げて組んでいただきました。
このナイフの修理前の写真を撮り忘れてしまったのですが、この素晴らしい鹿山氏の仕事をご覧下さい。
今回 私の仕事ではないのですがあまりにも素晴らしい修理例ですのでUP致しました。

2011.5.19
KYDEXシースの注意点について訂正があります。今までは下記の様に述べていました。
KYDEXシース製作の注意点
ナイフのシースを作る場合 直に温めたKYDEXをハンドルの上に載せてフォームしますとハンドル材の色が変わってしまいます。
高価なカスタムナイフの場合には製作しないで下さい。理想的にはナイフの木型を製作してKYDEXシースを製作して下さい。

包丁等の実用品の場合にはシース製作をうけたまわりますが、ナイフの場合にはお断りしています。

先日MATRIX AIDAさんのブログ(ナイフ小僧のブログ)を拝見していましたらKYDEXシース製作の記事がありました。
そこでMATRIX AIDAさんにお電話をして伺いましたところ、ナイフのハンドルの変色は無いとの事でした。
私が製作しましたのは庖丁のケースでしたので、ナイフのハンドル材に比べて柔らかい為、変色がおこったようです。
MATRIX AIDAさんは心配でしたらシースを造る前にハンドルを水につけてから製作したらどうですかとおっしゃっていました。
只 高価なナイフの場合にはよほど慎重にお考え下さい。

2011.5.13
お客様から庖丁の研ぎ直しとその庖丁を長期間保存しておくので錆びないようにして欲しいと頼まれました。
庖丁を長期間保管するには水気を抜く事が大事です。最初にガスレンジの上で火から30cm位放して10〜15秒あぶって
水気を抜きます。庖丁が青く変色してしまうと焼きがもどってしまうので本当に軽くあぶってください。庖丁を見ていると
水気の抜けていく様子がわかります。次に写真左の様にミシン油を多めに庖丁の上にたらし、塗りこみます。
錆を防ぐには空気に触れない様にする事が大事ですので写真の様にサランラップを巻いて庖丁に密着させます。
新聞紙がインクが油を含んでいるのでいいと言う方がいらっしゃいますが長期間新聞紙でくるんで保存した庖丁を私の店にお持ちに
なった時、新聞紙の文字がそのまま庖丁に錆になっているのを何回か見ています。又 防錆紙でくるんでもたまに見てやらないと
錆びることがあります。そして右の写真の様に厚紙で刃をカバーしてから紙に包むことをお勧めします。

2011.4.5 
お客様から鰻裂きの研ぎを頼まれました。修理前の写真が無くて申し訳ないのですが、研ぎべりして刃がかなり
厚くなっていて研ぎ幅を広くしていました。鰻裂きの場合には刃先だけ刃を立てて研ぎ幅は1ミリ位です。
そこで写真の様に一度刃をフラットに研ぎ直してから改めて刃先の段刃をつけました。

2011.3.28 ほとんどの修理ネタを掲載してしまった為、更新していなくて申し訳ありません。
           春休みの時期には学校の給食室の庖丁や野菜用のカッターの刃の研ぎを頼まれます。
           下の写真は円盤からカッターを取り外して研ぎを終了するまでの状態です。

2010.7.20 お客様が左の写真のコードを束ねるスパイラルを切る刃物はないかと尋ねて来ました。
           このお客様は機械屋さんでお客様の注文でワラを切る押し切りみたいな物を造るそうです。
           実際に切って頂きましたら柳刃庖丁が一番良く切れました。そこで真ん中の写真のように
           先を短くし、力が入るように庖丁の柄を菜切り庖丁用の太い物に替えました。
           又 押し切りの様にするので先端の方に超硬ドリルで4.5mmの穴を開けて納めました。

2010.7.16 お客様にお嬢さんのためのラシャ鋏をお買い上げ頂き、そのラシャ鋏の為の皮ケースをご所望されました。
        市販の皮ケースは皮が薄いので2.5mmの皮を使用して製作することにしました。

ラシャ鋏用のビニールケースがありますので型紙をとり、切り出しました。左の写真の型紙の内側の線がビニールケースの外側のラインになります。
その後皮用ボンドを使用して接着です。私の場合は幅広のバイスグリップがありますので使用していますが、クリップを使ったり接着面を木ズチで
叩いたりして下さい。
接着後三目の菱針を使用してマーキングし、一目の菱針を使用して穴を空けます。私は三目を使用しましたが二目の方が穴が揃うようです。
又 一目で穴を空ける場合、ミラーフィニッシュにした方が抜きやすく、ボール盤に一目の菱針をくわえて作業する人もいらっしゃいます。
ここでは皆様ご存知かもしれませんが、皮用の針の糸の結び方を説明しておきます。皮を縫う場合、あらかじめ接着してから縫いますが
普通の針のように結びますとコブが出来、穴を通りません。最初に糸を穴に通したら左の写真のように糸の中に針を通します。
次に真ん中の写真のようにもう一度糸の中に針を通し糸でS型を作ります。このまま右側の糸を引っ張りますと結んだ部分が長くなってしまうので
右の写真のように左側の糸を引っ張りS型を下側に持ってきて右側の糸を下に引っ張ると下 左の写真のような結びが出来ます。
糸の長さは縫う長さの4倍位と言われていますが、もう少し長くとった方がいいようです。もし足りなくなってしまいましたら、
二目程もどって縫って止めて改めて縫えばOKです。
実際に縫っていくのですが、注意点は同じように針を入れていくことです。上の写真の場合、右から針を入れて糸を通したら左からの針は
糸の下側から入れています。必ずこれを守れば縫い目は綺麗にいきます。
皮ケースの鋏のネジのあたる部分から下を水で濡らし鋏を中に入れてネジの部分や周りを押さえてウエットフォームをします。
この方法は剪定鋏等の市販の皮ケースの場合もウエットフォームをしますと最初から使い易い
皮ケースになります。ただし市販の皮ケースの
場合はその鋏にピッタリに出来ていないので
表側を全て濡らしてウェットフォームして下さい。

2010.1.15 お客様から刃長21cmの出刃庖丁の研ぎ直しを頼まれました。

刃の真ん中辺りを刃角を立てて研いでいる為減っているのがわかります。
ラクダR265水研器を使用して荒研ぎをかけて研ぎ角を修正し形を直した状態
中研ぎ 仕上げ研ぎをして完成です。
ここまで刃角を立てて研いだ庖丁ですと手研ぎでは荒砥石を使って1〜2時間研いでもこの状態にはなりません。
刃物店に依頼した方が良いと思います。

2010.1.9 お客様から庖丁の修理を頼まれました。

写真左 お客様が研いで刃の形が変形しています。刃先は右手を持ち上げて研いでいるので砥石には当たって
      いるのですが刃先から5cm位の所が尖ってしまっています。又 刃元が全然研げていません。
写真中 まず刃角を立てて研ぎ正しい刃の形に修正します。
写真右 その後刃角を寝かせて研ぎ上げた状態です。刃元の光っている部分には砥石が当たっています。
写真左   三徳庖丁の柄が壊れています。お客様がオリジナルの柄にこだわらないとの事で菜切り庖丁の柄で
        修理する事になりました。
写真中右 中子の部分を削り柄をすげて完成しました。

2010.1.5.
お客様から出刃庖丁の研ぎと柄の交換を頼まれました。ご覧のように中子(コミ)が錆びて短くこのままでは
柄をすげる事が出来ませんので刃を削って中子を製作する事にしました。

写真右 左から出刃用 菜切り用普通穴 菜切り用細穴の交換用柄です。
この出刃庖丁の場合、中子の下が細いので菜切り用細穴柄を使用しました。
そのままでは入らないので写真左のようにガスレンジで中子を焼いて細穴に叩き込んでいます。
又 写真右の菜切り庖丁のように中子が細い場合同じようにしています。
一度で入らない場合一度抜いてから再度焼いて入れています。詳しくはこのページの下をご覧下さい。

2009.12.25
お客様から古いヘンケルのステンレス牛刀のハンドル修理を頼まれました。

写真でわかるようにかなりハンドルの損傷が激しく最初は既存のハンドルを取り寄せて修理しようと思いました。
真ん中の写真にあるのは刃長300ミリの牛刀のハンドルです。長さがとても足りないので製作する事にしました。
写真左 ハンドルを切り出した状態 真ん中 穴を開けるのにバイスグリップで固定して開けます。
只 ずれることもあるのでハンドルは大きめに切り出しています。
カシメはある程度たたいてバイスで締めこんだほうがうまくいくようです。エポキシをつけて一晩おいた状態です。
削って完成です。今回はステンレスですのでタング(中子)の状態は良かったのですが赤いスペーサーを
挟んだのは私の趣味です。

2009.12.19
写真では普通の柳刃に見えますがお客様から刃長330ミリの特注柳刃の鞘を
頼まれました。出来合いの柳刃 蛸引の鞘が合いませんでしたのでKYDEXで
製作することになりました。特別なテクニックはないのですが、KYDEXが長くいつも
使っているオーブントースターに入らないのでクリップでKYDEXを吊るしておいて
ヒートガンで温めてフォームしました。1回目のフォームを失敗したのですが長さが
長い為万力で何回か移動させてのフォームでは曲がってしまい、2回目は万力以外に
2箇所しゃこまんを使ってフォームしたらうまくいきました。この庖丁や下の庖丁は
片刃ですがフォームをする時に庖丁の裏側にボール紙を2枚両面テープで貼っています。
両刃の庖丁に比べて片刃の庖丁の場合はやや厚めにしたほうがいいようです。
フォームを失敗してもKYDEXの場合はやり直しがききますのでベストな厚みを捜して下さい。
KYDEXを温めるのにホットプレートを使っている方もいるようです。

お客様にイカ裂き庖丁をお願いしました。この庖丁でワサビの茎を切るとの事です。
そこで腰にさげられるケースの製作依頼を受けました。右の写真で下側に3ミリのKYDEXを使い上側に1,5ミリのKYDEXを使っています。
制作方法についてはこのページの下のほうに掲載してありますのでご覧下さい。1.5ミリのKYDEXをフォームしたときにハンドルが曲がって
しまいました。地金付きの庖丁ですので曲がりを直せましたが、全鋼の庖丁やステンレスの庖丁やナイフで同じようにハンドルまで含めて
フォームしますと折れることがありますのでご注意下さい。
又 この庖丁の柄の様に、ホウの柔らかい材質ですとKYDEXの熱で変色することがありますのでご注意下さい。

2009.9,27
お客様から鉈の研ぎとケースのベルト通しの皮の修理依頼を受けました。
拝見しましたらベルト通しの部分はボロボロで全く使い物になりません。まず初めに写真左の本体の金具と写真真ん中の
プラスねじを外して鞘本体だけにしました。鞘への固定はプラスねじしかありませんので黒い合皮と木鞘の間に木槌の柄を
差込み合皮を伸ばして木鞘から外しました。写真右の様にベルト通しの皮を新たに製作し間に合皮を差し込んでかしめました。
皮が厚くなった分、木の鞘を差し込むことが出来るかどうか心配だったのですが何とか差込み固定する事が出来ました。
どうやって修理するか夢中になっていて最初の状態を写真に撮るのを忘れてしまいました事をお許し下さい。


2009.6.28
お客様から友達に正本のハンドルの無い牛刀をもらったので直してほしいとの依頼がありました。
拝見しましたら刃長27cmの牛刀の研ぎ減りしたものでした。お客様が家庭用で使うので長さをつめて欲しいとのご希望でした。
刃長27cm用のハンドルをつけると手元が重くなりバランスが悪くなってしまいます。
そこで刃長24cm用の穴の開いていないハンドルを取り寄せてから作業を開始しました。

刃にマーキングしてある
刃長24cmにします。
最初に錆をおとしてハンドルに合わせて荒削りをします。
穴の場所が違って見えます。
エポキシをつけてかしめます。 ベルトサンダーでハンドルを削り研ぎなおして完成です。


2009.2.28 花屋のお客様から花鋏のkydexシースの製作依頼を受けました。
今回の反省点
1,5mmのkydexをフォームしましたら万力を締める力が強すぎて鋏の調子〔切るときの硬さ〕が硬くなってしまいました。
調子を直すことが出来ますので事なきを得ましたが出来ない方は鋏のkydexシースは製作しないほうがいいかもしれません。
鋏の調子が変わっても私の店では責任を取れませんのでご承知おきください。
カシメの上側刃の部分のみを万力を使用して軽くフォームし、ハンドル部分は手の力でフォームした方が良かったかもしれません。

今回は3mmのkydexを背中側に使います。 ヒートガンを使用して花鋏のカシメ部分の逃げを
作ります。
左の様に鋏を置いてフォームしたいのですがカシメ部分が邪魔になりますので右の様に穴をほり逃げを作ります。
そのままフォームしますとハンドルの間が沈んでしまうので発泡スチロールを間に置きます。
1,5mmのkydexをオーブントースターで温めて
フォームした状態
3mmのkydexと仮組みをしたら抜けないので左の様に形を残したい部分を濡れ雑巾でカバーして
真ん中をヒートガンで温めカシメ部分の左側を残して膨らませます。
仮組みをしてどこまで接着してどこにカシメを打てばいいかを何度か試して抜き差しする硬さを調節します。
その後 接着して要らない部分を切り取りベルトサンダーで削り、カッターナイフを使ってサイドの面を滑らかにします。
一番右の写真は最初のフォームでは下側の3mmのkydexと鋏の足が離れてしまうので途中でフォームをやりなおしています。


2008.5.22
ステーキハウスのオーナーから引き出しに包丁をしまっておくのに何か簡単なケースはないかとの事で考えてみました。


2008.4.28
お客様から以前私の店でお願いしました剣ナタの鞘の修理のお電話を頂きました。最初は新しく製作して
欲しいとの事でしたが、状態がわからないので送って頂きました。

オリジナルは山桜の皮を張ってありましたが長年の使用で剥がれてお客様が他の物を巻いてありました。
お客様にお電話したところ、巻いていないところを皮でカバーしてくれればOKとの事でした。最初は皮の冶具を
長くして造ることも考えましたが裏側はいいのですが表側をカバーすることが出来ないので真ん中の写真の様に
カバーするものを製作しました。皮を水で濡らして引っ張ってからぎりぎりの所でホック止めにしてあります。
下のカバーはベルトを3mmの皮で製作しましたので外せませんので外した写真が無いことをお許し下さい。
鞘の裏側を全て皮でカバーする為、通常の冶具よりも幅を広く造ってあります。ベースは3mmの皮でベルトとホック止めの
皮は2,5mmで造りました。真ん中の写真は冶具をセットするために裏側に段差が出来てしまうのでホック止めのカバーの
上側に3mmの皮を追加しました。
ヒルトにガタが出ていて回転する状態でしたのでレッドのファイバースペーサーを
ブレードとハンドルの間に入れましたがこれでもまだガタがありましたので
写真のスペーサーの右側に竹の盛り箸の先を削って叩き込みました。


2007.1.28
お客様から牛刀のハンドル修理を頼まれました。以前にも載せてありますがその時とやり方が少し違いますので説明致します。

写真左から
1 元の状態を撮り忘れてしまったので左のハンドルを外した牛刀と比較して説明します。この牛刀は上の穴の
  下はほとんどナイフで言うタングの部分がありませんでした。左の牛刀の上の穴の場所と比較して見て下さい。
  そこでツバの部分を鉄ノコで切りツバの分だけハンドルが短くなってしまうので刃を削りました。超硬ドリルで
  ハンドルに合わせて穴を開けた状態です。。
2 タングがほとんどありませんのでその代わりにファイバースペーサーを使用します。色がやや濃いものは明るい
  物より薄いものです。
3 エポキシを着けてかしめた状態です。カシメが1ヶ所では刃が前後してしまうので既に3mmの超硬ドリルで穴を
  開けて3mmのNSのピンをいれてあります。ハンドルの上端に近い位置なのでかしめるとハンドルが割れて
  しまうので差すだけにしてあります。万力にはさんで一晩おきます。ハンドルの背中に差してあるスペーサーは
  穴が空いていたので使用しています。又 刃元に差してあるスペーサーは万力で挟んでも左右のガタが
  あるので刃とハンドルの曲がりを修正しながら薄いスペーサーを差しました。  
写真左から
1 下のピンはきかなかったので上にもう1ヶ所ピンを入れました。
2 削って仕上げた状態
3 ハンドルを背中から見た写真 スペ^ーサーの使い方が良くわかると思います。


2007.1.9
お客様から庖丁と切り出しのKYDEXシースをたのまれました。

大まかな大きさにKYDEXを切るのにアクリルカッターを使っています。普通のカッターナイフを使う方もいるよう
です。アクリルカッターですと1.5mm厚のKYDEXですと2〜3回切って写真のように角を使って折り曲げると
簡単に切れます。
写真左から
1 庖丁は薄いのでフォームをした時にあまりキレイに形が出ないので片側のみフォームします。
2 庖丁だけでは薄いのでボール紙を同じ大きさに切ります。
3 ボール紙と庖丁を両面テープで貼り、それを厚い板に貼りつけます。
写真左から
1 オーブントースターでKYDEXを温めます。この時必ず軍手を着用して下さい。
2 KYDEXが柔らかくなったら素早く取りだしフォームします。
3 フォームしたKYDEX
写真左から
1 仮組みをしているところです。どこにカシメを打てばいいかチェックします。
2 接着しているところ 時々KYDEXシースを造るので幅広バイスを使っていますがクリップ等を利用して下さい。
3 要所をかしめて外形をベルトサンダーで整え、最後にカッターナイフで側面を滑らすように削ります。
写真左から
1 佐治さんの切り出しです。形がナイフと違うのでどうしようかと思いましたが、フォームをしてから考えることに
  しました。庖丁の時よりも擦れるのがイヤなのでボール紙の厚さを増してあります。
2 試してみると下からうまく抜き差し出来るので硬さを調節しているところです。
3 フォームしていないKYDEXは3mmを使用しました。1.5mmを両側使用するよりも質感が違います。

2006.12.16.
今回は庖丁の柄のすげ方で前後の曲がりをREPORTします。
写真左から 中子〔コミ〕が庖丁の背中側に曲がっているのがわかりますか。この状態で柄をすげると2番目の
写真のように刃が背中側に反ってしまいます。そこで3番目のように刃側に中子を曲げてすげると4番目のように
修正できます。中子の曲げ方は刃を危なくないようにタオル等で厚めに包み刃を左手で持ってアンビルや
木の上でカナヅチでたたいて曲げます。普通はやや刃側に曲がっている方がまっすぐ入るようです。
注意 オールステンレスの板材の庖丁の場合中子を叩いて修正すると折れる場合があります。

上段
左 右側が普通の菜切り庖丁の柄です。左側は穴を小さくして造ってもらっいています。これはその上の写真の
   中子のようににサビをとってみると細くなっていたり、元々中子の細いもの用です。
右 出刃の中子が薄かったので普通の菜きり庖丁の柄にすげる為、中子を焼いているところ
下段
左 左は柳刃を新しい柄にすげたところですが柄との間に隙間があるのでスペーサーを入れてその後切ります。
   右は上で焼いた出刃をすげたところです。
右 刃の抜き方ですがカナヅチの柄などで写真のようにしてカナヅチの柄の先をキヅチで叩いて抜きます。
私の店では桜柄を使っているのでホームセンターで売っている白い木の柄に比べて硬いので焼くのをを
強くしていますが、白い柄の場合中子の先がチョット赤くなる位でよいかもしれません。
近くに刃物屋さんがあればすげてもらった方が無難です。

修正前 修正後
2006.11.30.
菜切り庖丁の柄をすげましたら刃と柄が曲がっていましたのでREPORTします。一番右の写真で皮が
貼ってあるのがわかりますか。使いこんでいるので汚れていますが庖丁にキズをつけないようにしています。
この柄は上の黒い部分がプラスチックですので柄をすげてから修正しても大丈夫ですがこの部分が水牛の
ものはすげてから修正しますと水牛の部分にクラックが入ることがありますので御注意下さい。
水牛柄の場合途中まですげて曲がりを見ながら何回か抜いてすげます。
2006.11.30.
フォームだけして造っていなかった
KYDEXがありましたので新しい造り方を
説明します。
左の写真は1.5mm厚で造ったもので
古いテクニックです。この場合上下1回で
フォームしていますのでカシメの位置で
抜く硬さを調節しています。
写真左から フォームの時には熱いですから必ず軍手を着用して下さい。
1 3mm厚のKYDEXを刃とハンドルの高さの差に合わせてヒートガンで曲げたい部分だけを
  熱してフォームします。この場合は高さが比較的低いのでG−1を2枚用いましたが普通の
  ナイフの場合マイカルタ位の厚さになります。
2 フォームして出来あがったもの
3 1.5mm厚のKYDEXで表側をフォームする場合このような木の板を用意すると便利です。
  ハンドルの大きさに合わせて切れこみを造ります。
写真左から
12切りだしをセツトした状態ですが、この時刃の反対側にボール紙を両面テープで貼り浮かせるのが
  コツです。前はそのままフォームしていましたがカシメの位置でしか調節できませんでした。
  又 抜き差しするうちにブレードにキズがつきます。ボール紙で浮かせるとブレードがKYDEXと
  こすれることが少なくなります。このフォームの時にはオーブントースターで温めて万力で挟んで
  いますがホットプレートでやっている人もいます。
3 下側はこれでOKですが上側はこの後2の状態でスポンジの代わりにぬれ雑巾で熱が伝わらないように
  してヒートガンで熱しハンドル部分のフォームを軍手をして指で行います。時間がある時に実際に
  組み立てながらREPORTするつもりですがくれぐれもバイス等を使って仮組みしてから接着して
  ください。
  庖丁やペティナイフのケースを造る場合、ボール紙を2枚重ねて刃に貼りスカスカの状態に造って
  しまってから刃の一番下の部分以外をぬれ雑巾などで冷やしておいてヒートガンで下の部分のみを
  熱し指で押して抜き差しの硬さを調節する方法もあります。失敗しても何べんでもやり直せます。
  ナイフのシースを造る場合ハンドル部分までかかるシースですと直接熱したKYDEXに当たる部分が
  変色する事があります。ナイフの木型を造ってやる方もいるほどですので御注意下さい。
私は仮組みの時や接着の時に幅広のバイスグリップを使っています。
KYDEXにキズがつかないよう皮を両面テープで貼って使用しています。
何種類か大きさの違うスポンジを用意
すると便利です。牛刀用に30cmを
越えるものも用意してあります
2006.11.27.
昨日の夕方一人のお客様がいらっしゃって5本庖丁をお持ちになりました。駄目なものは処分していいものを
修理して欲しいとの事でした。拝見すると2本はステンレスの板材のあまり材料の良くないものでしたので
刃物回収箱に入れて3本を修理することになりました。上の写真は修理前 修理後のものですが研ぎなおして
柄を交換すると全然違うことがお分かり頂けますか。右端の庖丁は硬いもの用に刃角を立てて研いであります。
この頃 カボチャや半解凍のものを切って刃を欠いてくる方が見うけられますので、何本か庖丁をお持ちの方には
硬いもの用と普通に使うものに分けることをお勧めしています。又 菜切り庖丁の柄はもちろん交換できますが
このお客様は他の2本も汚れているので交換したいとおっしゃったので、ベルトサンダーで汚れている柄の表面を
削りました。私の店ではベルトサンダーを持っていますのでこの修理が出来ますが持っていないお店では難しいと
思います。
2006.11.23.
お客様から鋼の牛刀のハンドル修理依頼がありました。庖丁・鋏の研ぎ修理のページにUPしてありますがあまり
途中のやり方をしめしていませんのでREPORTします。
この庖丁の場合は片側のハンドルが既にとれていましたから比較的外すのが楽でしたが、両側がついている
場合3mmのキリから序所に太くしてボール盤を使って外しています。これはハンドルをそのまま使用する為です。
又 この修理をする場合お客様に外すまで待って頂いています。外してサビをとってみると中が折れている場合が
あるからです。
上の写真左から
1 サビをとった状態 
2 サビをとるとナイフでいうタングが薄くなっていますのでスペーサーを入れて厚くしないとツバの部分の高さが
  あいません。そのスペーサーを切りだしたもの
3 この庖丁の場合タングの中ほどがツバのすぐ下の部分に比べて薄かったので部分的にスペーサーを入れることに
  しました。
下の写真左から
1 最初に軽くかしめて万力ではさみテンションを加えてから本格的にかしめます。私の場合カシメの頭がハンドル
   の中にややもぐるくらいにしてありますのでアンビルの上にカシメの頭より一回り小さいナットをのせてかしめて
  います。
23ナイフと違って庖丁は薄いのでハンドルと刃の部分に曲がりが生じてしまいます。そこでハンドルとハンドルの
  上端の間に厚さの違うスペーサーを挟んでまっすぐにしています。時々やっているのでカウンター上に貼りついた
  スペーサーが見えます。これで1日おいてベルトサンダーでハンドルをで削って完成です。
2006.11.24.
上の修理の続き 写真左から
1 1日置いた状態です。
2 今の時期ですと1日置いても完全に硬化しませんので無駄なスペーサーを切ってガスレンジの上で燃やさない
  ようにあぶります。
3 ベルトサンダーを使って削って完成です。
2006.11.21.
このナイフをお買い上げ頂いたお客様から
通称シッポのご依頼を受けました。
この仕事は私ではないのですが参考にして
下さい。シッポはハンドルの一部になるので
ある程度の強度が必要です。あまりピッチを
細かくすると強度が足りなくなります。
ソングホールに入るなるべく幅の広くて厚みの
ある皮を使うのがコツです。
ナイフの雰囲気に合わせて皮の色や材質を
試して下さい。レザーショップで端皮を安く買って
ストックしておくとよいです。
2006.11.20
ドイツ人のお客様が尋ねてきてシースを腰につるせなくなったので何とかならないかとの依頼がありました。
拝見すると写真のように細い皮ひもが切れていました。しばらく考えた後、シースに縫いこむこともかしめる
ことも難しいので写真のような治具でどうかとスケッチしたところOKがでました。実際に製作して1回失敗
しています。それはヒモで外径に合わせて造ってみたところきつすぎてナイフが抜けなくなってしまいました。
カシメをどうにかとり、少し大きめにもう一度つくりました。それでも抜きにくいので皮に水をつけてカナズチの
柄で伸ばして調節をしました。ウェットフォームの要領でやりますと皮はかなり伸びますので試してみて下さい。
他の例として剪定鋏や大久保鋏の皮ケースにも応用できます。お客様が鋏とケースを一緒に買ってくださった
ときにやっていますが、ケースの表側に水を手でこすりつけて〔あまりビショビショにする必要はありません〕
鋏を中に押し込み庖丁の柄のようなもので鋏のまわりをフォームして鋏を抜き半日くらい陰干しします。
そうすると最初から鋏の形がついて最初から使いやすくなります。
このナイフの研ぎなおしも頼まれました。ポイントが無くなっていてかなりエッジの部分が丸くなっていたので
回転式の水研器で荒研ぎ 中研ぎをして最後は仕上げ砥石を手でかけました。一般的にナイフはステンレス
が多いので一番大事なことは合成の細かい仕上げ砥石でメクレをとりながらエッジの部分を光らせることです
〔あくまで私の考えですので間違っているかもしれません〕
又 ナイフの研ぎ方ですがよく雑誌には横研ぎの一方通行の研ぎ方が載っていますが私は庖丁屋ですので
研ぎ台を使って庖丁のように前後させて研ぎます。この研ぎ方でも右手をしっかり固定して角度を保てばエッジ
のラインは保てます。コツは刃先の部分にかかるときに右手を軽く上げることです。安い果物ナイフなどで練習
してからトライして下さい。
これはナタ用のベルトに付けるための為の皮治具です。剣ナタを買って下さった方にサービスでつけています。
穴が空いていないのは一丁一丁に合わせているからで何もついていない皮はハンドル固定の為のホックを
つけています。これも造ってくれる所が見つからないので自分で造っています。
ある日お年を召した御婦人から両刃の良く
切れる軽めのナタを頼まれました。一丁では
悪いので二丁佐治さんに150mmの大きさで
頼んだのですが出来合いのケースが無いとの
事で私が造ったものです。お客様は腰につるす
必要が無いとのことで写真のようには造りませ
んでしたが、KYDEXは造り方を覚えるとイロイロ
応用できます。過去には沼津から東京のお料理
教室に週に何回か通っている方に頼まれて庖丁
やミートフォークのケースを10点以上造った事も
あります。私のKYDEXの先生はKNIFE工房 やすなが
の安永さんです。